シャープ製品と思ったら中国メーカー製品だった
OEM供給製品について
最近は、電機機器を買おうとしても、中国メーカーの製品が増えてきました。
自ブランドで販売してくれるのは、まだ良いのですが、他社にOEM供給され、中身はそのままなのに、他社のブランドを冠して販売されていることがあります。
そういう製品を買った場合には、避けていたメーカーの製品を、知らず知らずのうちに使ってしまうことになります。
できることなら、リスクのあるメーカーの製品は使いたくない。そう思います。
Hikvisionについて
OEM供給を積極的に行っているメーカーとして、中国本土(台湾ではない)の、Hikvisionという会社があります。
低価格と、積極的なOEM戦略で、近年監視カメラの分野では大きなシェアを持つに至っています。
しかし、このHikvision社、会社自体が色々あって、米国の制裁対象となっています。
以下、報道が決定された時の、ニュース記事です。
日経新聞報道
シャープ製品との外観類似性について
私が最初に疑問に思ったのは、こちらのサイトの画像を見たときでした。
jp.sharpシャープ製品の、ネットワーク監視カメラの製品紹介ページです。
監視カメラの製品写真が掲載されています。
これが、以前見たことのあるHikvision製品と同じもののように見えたのです。
以下、比較していきます。
Hikvision製品の写真は、
IP Camera | Network Camera - Hikvision
から取得したものです。
いずれも、写真を撮る角度は違いますが、同じものを撮影した写真のように見えますね。
MACアドレスの一致
外観だけでは確証が無かったので、シャープ製品のMACアドレスを調べてみることにしました。
MACアドレスとは、ネットワーク機器に付与されるアドレスで、メーカー名の情報が含まれています。
一般的に、中身を特別にカスタムせずに、そのまま供給されたOEM製品には、OEMを受けた販売会社の情報ではなく、OEM元メーカーの情報が入っている事が多いです。
製品のMACアドレスを知るには、その製品を買って調べてみるのが簡単ですが、それ以外にもMACアドレスを知る方法はあります。
今回は、シャープのホームページに掲載されている取扱説明書の記載で知ることができました。
このページから、取扱説明書をダウンロードすることができます。
ダウンロード|業務用ネットワーク監視カメラ | 法人のお客様へ(シャープのBtoB):シャープ
取扱説明書を良く見ていくと・・・・
TCP/IP設定の箇所に、MACアドレスが入ったスクリーンショットが載っていますね。
94:e1:ac:c9:be:46
だそうです。
判明したMACアドレスを、こちらのサイトで検索に掛けます。
すると、出てきました。
ばっちりHikvisionであると表示されていますね。
HikvisonからのOEM製品であることは確かそうです。
Hikvision製品のバックドアについて
Hikvisionについては、米国政府による制裁の問題以外にも、過去のファームウェアでバックドアが発見されていた、という問題があります。
バックドアの内容については、下記URLでセキュリティレポートが公開されていました。ただし、詳細を読むにはログインが必要です。
指摘を受けてファームウェア更新の対応が取られ、最新のファームウェアではバックドアは塞がれた、とのことです。
しかし、バックドアというものは、その性質上、一つが塞がれても、「2個目は無いのか?3個目は無いのか?」と疑ってしまうのは仕方が無いとことです。
Hikvision社は、セキュリティに関しても、懸念が残るメーカーの可能性があります。
(備考)バックドアとは?
製品に仕込まれた不正な「裏口」のことです。
詳しくは、Wikipediaのページをご参照ください。
まとめ
この検証で、シャープ製のネットワーク監視カメラは、Hikvision社からのOEM品である可能性が非常に高くなりました。
しかも、ソフトウェアの変更など、シャープ側でのカスタマイズはほぼ実施されておらず、そのまま横流しOEMの可能性が高いです。
私たちが電気製品を買うときに、わざわざ日本製の製品を買おうとしてシャープ製品を選んだのに、実は中身は中国企業からのOEM製品だった、なんてことは、できれば避けたいですよね?
シャープは、数年前に台湾の鴻海精密工業の傘下に入りました。
今後のシャープ製品を、今まで同様に日本企業の製品だと思って見ることはできなくなっているのかもしれません。